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第2章 認知症の薬物治療に関してどう考えるか?

1.認知症の薬物療法
アルツハイマー型認知症に関しては、軽度から中等度までは塩酸ドネペジル(1日1回5mg)、ガランタミン(1日量16mg~24mg 朝夕食後)、リバスチグミンパッチ(18mg貼付剤)、中等度から重度はメマンチン(1日1回20mg)、重度は塩酸ドネペジル(1日10mg)が使用できます。
作用機序は、塩酸ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンはコリンエステラーゼ阻害薬で、脳内のアセチルコリンを増やす働きがあります。メマンチンはNMDA受容体(グルタミン酸)拮抗薬です。そのため、中等度以上では、2種類の薬を併用することができます。
レビー小体型認知症には、塩酸ドネペジルのみが保険適応となっており、10mgまで使用することができます。
血管性認知症に関しては、脳梗塞、脳出血で原疾患の治療は異なりますが、ニセルゴリン(1日量15mg 毎食後)使用することができます。

2.アルツハイマー型認知症治療薬の効果について
現在使用できるアルツハイマー型認知症の薬剤は、疾患改善薬と言われ、アルツハイマー型認知症の原因に効果がある薬ではなく、脳の働きを改善する薬です。そのため、進行を抑えますが、神経細胞が脱落するにしたがって症状は進行します。そして、内服の中止によって症状は悪化し、再開しても服薬継続レベルまでは回復しないと言われています。

今後開発が期待されている、アミロイドやタウに対する抗体薬は、疾患修飾薬といい、アルツハイマー型認知症の神経細胞死を抑えると考えられています。その効果としては、下図のようになるのではと考えられています。

3.後発薬品について
後発医薬品(ジェネリック)は、先発医薬品の再審査期間や特許期間(20から25年間)終了後に発売されるもので、同じ成分、同じ効き目の薬で、ジェネリック医薬品とも呼ばれています。しかしながら、効果が全く同じとは言えません。成分はある許容範囲内で同じ量含まれていますが、薬を固める成分などに違いがあり、同様の作用が得られない場合もあります。また、調剤薬局・後発薬品会社の都合により、常に同じ薬を使用することができない場合もあります。
認知症の薬剤はその効果が実感できるものではない(問題ではありますが)ため、私は個人的には先発医薬品のような臨床データのある信頼できる薬の使用をお勧めしています。

 
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