認知症FAQ

1) 独居で認知機能の低下がある場合、どのくらいまで独居可能か?

個人差があるので一概には言えませんが、ACPのところでも述べたように、まず本人に質問してみたらどうでしょうか?どうなったら、一人で生活できないと考えるのかを。足腰に問題がなければ、排泄の管理ができなくなった時、徘徊してしまう時などが施設を考慮する時期かと思います。

2) 認知機能低下の自覚がない人をどのようにして受診につなげればいいのか?特に、性格がきつい方やBPSDの症状が出てしまっている方は困難と感じる。

地域包括支援センターと相談し、(もの忘れ)外来医師に相談の上、受診日の調整をする。受診に関しては、健康診断でも脳ドックでも良いので、一度診察が必要ということにする。

3) 画像診断等は病院に行かないと難しい、何気なく訪問に来てくれる先生がいるといいのにと思う。

認知症の有無だけであれば、画像は必要ありません。但し、鑑別診断ができないので、いずれは必要と考えます。医師の訪問は効率が良いと思います。まさに、これが「認知症初期集中支援チーム」のアウトリーチです。本人もわざわざ医師が来てくれたとうまくいく場合もあるようです。介護専門員も認知症のプロフェッショナルとして、うまく誘導するためのテクニックを獲得して下さい。

4) リハビリをしないと機能が低下するとわかっていても、本人の拒否が強くサービスに入れることができない場合、どのように持って行ったらいいか?

リハビリの必要性は、本人も何らかの自覚はしていると思います。多くの専門職からの働きかけが必要になります。まずは主治医に協力を要請して下さい。また、リハビリが目的ですので、通所リハビリでも訪問リハビリでもどちらでもかまいません。まずは週1回からでも始めてもらうことが必要です。

5) 妄想、幻聴(行動を指示される、対話をしている)があり、外出した際に帰宅困難となる事もある利用者の方へ最適な支援は何なのか?

妄想幻覚が認知症からであれば良いのですが、特に幻聴、頭の中に指示が浮かぶようなら統合失調症(高齢発症はあまりない)も考慮しなければなりません。

6) 自傷行為や薬のコントロールがうまくいかず、昼夜問わず激高し外に出てしまうような場合、精神科しかないのでしょうか?

自傷行為がある時点で、精神科の適応を考慮する必要があります。単に易怒性であれば、内服治療も考慮されます。

7) 家族が認知症の可能性を排除し、通院までいたらない。主治医が昔からの個性と認識されており、専門医までつなぐことができない。どうしたらよいか?

介護専門員として認知症を疑う症状は何か列挙して、家族に診療を促す。主治医とのコネクション(介護認定等で)があるなら、主治医にも認知症を疑う症状を列挙して提出する(主治医意見書記載の資料として)。

8) 主介護者が支援を受け入れず、自分が本人のことは一番よく知っていると主張され、介護専門家を信用しない。認知症本人は、BPSDが強く現れている。そんな主介護者にどのように、アドバイスをしたらよいでしょうか?

認知症に関する知識を得てもらうために、認知症サポーター養成講習など(今はコロナの影響で開催されていないかも)を受けていただくことも必要と思います。「高津区認知症連携を進める会」では、適宜、Webで認知症啓発講座を実施しますので、ご紹介していただいてもよいと思います。

9) 本人・家族とも認知症状が進行していることを理解しており専門医に相談し、1年間の治験を終えたところであるが、今後の診療方針等の説明がなく不安に思っている。ケアマネに毎回尋ねられるが、どう答えるべきか?

これは、主治医に聞くしかないです。

10) 認知症という言葉自体個人的にはあまり好きではない。アルツハイマー、レビー、前頭側頭型等全て一括りになってしまい、いずれも対応の仕方が違うのに病態が明確にならない、高齢になって誰もが死を迎える前、何等かの病気になる可能性がある。そのうちの一つが認知症ととらえているが家族の拒否感はがんや肺炎の比ではない。そこが辛い。

認知症はありふれた病気であり、加齢とともに確実に増えてきます。まずは認知症を知ってもらうことが重要です。鑑別診断も重要ですが、臨床上は区別できないこともままあります。認知機能は生活に直結してきます。癌や肺炎よりも拒否が難しい疾患と個人的には認識しています。

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